PARACOSM

音楽、映画、社会など

Jungleという「加速装置」、Hyperdubという「ウイルス」

 

はじめに

この記事は、特にRAVE以降のジャングルと機能や思想、Hyperdubとその根源のCCRU (The Cybernetic Culture Research Unit)のリサーチをまとめたもの。

RAVEについては前回の記事を参照してください。

iamtsumu.hatenablog.com

 

これらのミックステープを聴きながら読んでいただくとより分かりやすいかと思います。

 

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 目次

  1. Hyperdubの根源、The Cybernetic Culture Research Unit

  2. 生けるレイヴの屍、ジャングル

  3. リアル、そして未来

  4.  未来への加速

  5.  ジャングルは夢から現実へ覚めるためのアラーム

  6. What is Hyperdub?

 

Hyperdubの根源、The Cybernetic Culture Research Unit

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The Cybernetic Culture Research Unit (以下CCRU)は、1995年秋にイギリスのWarwick 大学でサイバー理論家(自称サイバーフェミニスト)のSadia Plantによって非公式に設立された研究組織である。この組織は、サイバーパンク、音楽ジャーナリズム、自然科学 (神経学、細菌学、熱力学、冶金学、カオス理論、コネクショニズム)に影響された哲学、ジャングルやポストレイヴミュージックなどそれぞれが融合したノマド的思考を軸に学際的に活動していた。

組織が設立された2年後の1997年に、Sadia Plantはフリーランスの作家になるために組織を抜け、その後は元恋人であるニック・ランドに引き継がれた。大陸哲学の博士であった彼は、奇妙なカリスマ性によって学生たちを惹きつける。

その学生の中の一人が、後にHyperdubを立ち上げるKode 9 (Steve Goodman)である。グッドマンはWarwick大学に入る前の90年代初頭に、エジンバラの大学で哲学を学びながらサイケデリックジャズ、ファンクミュージックに夢中だった。3年後、彼はWarwick大学に移り、CCRUに所属する。CCRUでの経験は、彼の音楽的嗜好をクラブミュージックに変化させ、彼の今後のキャリアに多大な影響を与える。CCRUは、UKレイヴシーンに咲いた音楽カルチャーを切り刻み、混ぜ込み、その要素を落とし込んだ新しい音楽、ジャングルに大きな関心を寄せる。グッドマンもジャングルのような新しく強い音楽がどのような新しい概念を必要とするかを探っていた。 言い換えれば、音楽とは聞くことだけでなく、考えることでもあり、理論を生み出す可能性があると考えていた。レイヴカルチャーとアフロフューチャリズム、ポストモダニズムサイバネティックスの要素を組み合わせることで、彼は強力な個人哲学を作り始めた。

その後、Sadia Plantを除くランドとCCRUは、「加速主義」と呼ばれる奇妙で複雑な理論的立場を生み出す事になる。

CCRUのアーカイブは今でも閲覧可能。

http://www.ccru.net/images/syzygy/demonlogos.gif

http://www.ccru.net/syzygy.htm

 

生けるレイヴの屍、ジャングル

https://djmag.com/sites/default/files/styles/djmag_landscape__691x372_/public/article/image/Metal-Headz_Label-Focus_Header-pic.jpg?itok=ewpEKb1k

労働階級の集団のレイヴカルチャーが「愛、平和、団結」によるサッチャリズムへの対抗だとすれば、ジャングルはレイヴの精神が死んだ後のレイヴミュージックだとサイモンレイノルズは言う。1993年頃からハードコアはクラブ外での強盗やクラブ内での喧嘩などの理由から不安定になる。それに幻滅したレイヴァー達はハッピーハードコアシーンの形成へと傾く。一方、それ以外のレイヴァーは、かつての興奮があったレイヴは終焉を迎えたと感じていた。ジャングルは生けるレイヴの屍だ。

1992年頃からGoldieやLTJ BukemなどのIntelligent JungleのプロデューサーはRagga Jungleは乱暴で未熟な音楽であると考え、1994年にはLTJ Bukemが”No Ragga”ポリシーを掲げたクラブを作る。ダンスホールからの影響を受けてますます定型化したRagga Jungleと比較し、Goldie達の新しいジャングルはArtcoreやIntelligentとして新鮮で最もスリリングな音楽となった。

 

リアル、そして未来

エクスタシーが不在になるとジャングルはUSハードコアラップの持つ「リアル」の世界観と同じようなイデオロギーを持つようになった。

L Double and Shy FX - The Shit  

この曲は非現実的な視覚、非現実的な感覚などを否定し、リアルこそが重要だというギャングスタの独白から始まる。

open.spotify.com

では、一体「リアル」とは何か。ヒップホップにおける「リアル」には2つの意味がある。1つ目は、音楽業界で売れ、完売を目指すような音楽ではなく、妥協がない本物の音楽を指す。2つ目は、我々の生きる社会はもう死んでいるという現実を表現したものである。後期資本主義の経済的不安定、システムの中に組み込まれたレイシズム、警察による若者への監視と嫌がらせなどの社会への不満が込められている。

そこからジャングルは未来を見据える音楽になっていく。ジャングルは、ブレードランナーターミネーターロボコップなどの潜在的に反資本主義のメッセージを含むサイバーパンクフィクション、ディストピアSF映画から影響を受けるようになる。実際にMetalheadzのジャケットはターミネーターのメタルの頭蓋骨を連想させる。

 

Adam F - Metropolice 

open.spotify.com 

 

未来への加速

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──なぜ、未来に急ぐのか

ダークサイドジャングルのレーベルNO U TURNはこの問いに対して答える。新しいダーク(暗黒)の時代では、原始的なエネルギーがデジタル技術に会う場所であり、そこではあなたのアイデンティティですら科学的になる。ジャングルと同様に、あなたはあなた自身を非捕食者ではなく捕食者として定義する。ジャングルの中にはテクノロジーの意志力があり、それは人間の優先事項を破壊し、コミュニティを引き裂こうとする。もはや、踊りたいから踊るというかつてのレイヴミュージックではなく、踊らざるを得ないものとなる。まるで、汗をかき踊るレイヴァーの姿は、未来へと走るようにも見える。NO U TURNからリリースされた曲、TRACE, Ed Rush, Nico - Droidを聴くとブレードランナーで、雨の降るディストピアの街のアーケードで、デッカードレプリカントを追うシーンが思い浮かぶ。NO U TURNは、この後戻りはできないという感覚を表現している。

TRACE, Ed Rush, Nico - Droid  

 

 ジャングルは夢から現実へ覚めるためのアラームf:id:iamtsumu:20191221042001j:plain

「社会なんて存在しない」──これは、79年から90年まで在任したイギリス保守党初の首相のマーガレット・サッチャーの「新自由主義宣言」での有名な言葉である。個人のための社会など存在せず、個人は個人を強化しなければならないというメッセージ。サッチャリズムによるUK国内の格差の拡大と共に衛星放送の開始、国営産業の民営化などにより、社会の閉塞状態が加速する。個人を守る社会の破綻をトリガーに新しい暗黒時代へ入ると、人々の抑圧された不安から生まれる抵抗は思いもしない場所から表面化する。抵抗は、必ずしも組合や政治的な左翼の集団による論理的な方法だけではない。ジャングルは、社会的に構築されたリアルを「自然」として受け入れる「リアリズム」の立場を取る。 「リアル」になるとは、大部分が敗者となる自然界に立ち向かうことである。ジャングルの危険で焦燥的なリズムは、聴衆に不安を叩き込む。(フロイトによると、不安は防御メカニズムであり、それなしでは、トラウマに対して脆弱になる)。ジャングルは生けるレイヴの屍であり、夢の終焉とともに生きるサウンドである。ジャングルの爆弾のようなサブベース、シナプスを破壊するスネアとハイハットは夢から覚め、現実を見るためのアラームなのかもしれない。

 

What is Hyperdub?

https://hyponik.com/wp-content/uploads/2012/01/hd_background.gif

2000年9月3日、kode 9 ことグッドマンは「What is Hyperdub?」というタイトルのメールを Driftlineと呼ばれるオンライン哲学フォーラムに送信した。 その中で、彼はHyperdubを「人間と機械を複製する情報ウイルス」と説明し、「これまでで最も毒性の高い変異」を「ハードコア、ジャングル、2ステップガラージ」と引用した。時間の経過とともに変化する音の形であるHyperdubウイルス。このフィクション上のウイルスは、グッドマンにとっての指針となる。 「ウイルスは私に何をすべきかを教えてくれた」と彼は言う。

グッドマンは2000年に新しいダンスミュージックに焦点を当てた記事のプラットフォームとしてHyperdubというオンラインマガジンを設立。。 そアーカイブ調べてみると、グッドマンが「ロンドンのエレクトロニックミュージックはジャマイカ音楽に焦点を当てている」という、ミレニアム時代のダンスミュージックに関する豊富な執筆活動が見られる。 グッドマンと並んで、サイモン・レイノルズのような定評のある批評家、マーク・フィッシャーのような学者やその他の熱心な仲間が貢献するようになる。Hyperdubと言うウイルスは実際にダブステップなどを巻き込みUK音楽シーンの中で次々と感染していく。

 

「Hyperdubはウイルスの概念として始まったが、Hyperdubオンラインマガジンを書いている当時、音楽はウイルスではなくその概念はただのフィクションであった。 その後、フィクションが現実のものになった。」— Kode9

 

 

主な参考文献

『ENERGY FLASH』Simon Reynolds

Acceleration Now (or how we can stop fearing and learn to love chaos)

 Kode9 Stared Into The Void And It Stared Back

Cybernetic culture research unit

Label of the month: Hyperdub

 

レイヴ・カルチャーとは何だったのか、そして何か。

この記事はMark Fisherの考察に由来することをことわっておく。

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近頃、RAVEをコンセプトにしたパーティーが増加傾向にあると肌で感じる。昨年にwwwβで開催された"FREE RAVE"では多くの若者が勝手に集まり、勝手に踊るという文字通りRAVEの光景が広がっていた。熱気の立ち込める暗く霞んだ室内を見ると年齢層は20代が多いようだ。ここで不思議に思うのが私も含め、彼らは80年代後半から90年代におけるレイヴ・カルチャーの世代ではないのにも関わらず、21世紀に入った今日でもその時代の音楽で踊っているのだ。ウェアハウスパーティーや野外でのレイヴを体験したことはないが、90年代のレイヴ・カルチャーに取り憑かれ、レイヴの亡霊に熱望する。

これは実在しないままに作用するという憑在論(ジャッ ク・デリダの『マルクスの亡霊』原著, 1993/2007a:37に登場する用語)として捉えることができるとMark Fisherは述べている。「存在でもないが、かといって不在でもない、死んでいるのでもないが、かといって生きているでもない」。このように、体験したこもないレイヴ・カルチャーに現代の若者が亡霊的に取り憑かれ熱狂する。

uncannyzine.com

レイヴ・カルチャーとは何なのか

80年代後半から90年代にかけてUKで生まれたアンダーグラウンド・ムーブメント。

1988年から顕在化し、勝手に場所を占拠し、誰かの音楽で、その音楽の力で勝手に集まり、勝手に踊る。空間と時間を共有し、能動的聴衆による能動的消費が特徴付けられる。音楽的嗜好が似通った者たちが一回性の中で踊り明かすことは非日常的であり、ポジティブに記憶される。1989年、「セカンド・サマー・オブ・ラブ」という現象がUKを席巻する。(ファーストは60年代末にアメリカ西海岸におけるヒッピーカルチャー)もともとヨーロッパの大陸側の諸都市ではトラベラー(トレーラーやキャンピングカーでのノマド的生活)やアナルコテクノ・パンク(アナキストでインダストリアルやテクノ、パンクを好む集団)の土壌があったので、急速にレイブ・カルチャーは発展した。

UKレイヴカルチャーに移民文化が合流したことでジャングルが生まれる。ディスコの延長で生まれたハウスよりレゲエの影響が強く、ベースも大きく、ハウスが流れる場所よりもラフな場所で流れていた。ジャングルはシンプルにハードコアとも呼ばれていた。UKにおけるジャングル=ハードコアは、ガラージや2ステップ、ダブステップ、さらにはグライムに進展する。この一連をサイモン・レイノルズはハードコア連続体という言葉で表現している。

1980年代後半、サッチャー政権・サッチャリズムによるUK国内の格差の拡大と共に社会不安が広がった時代に生まれたこのアンダーグラウンド・ムーブメントは、若者たちの集合的なドロップアウトとなる。衛星放送の開始、国営産業の民営化など、技術革新と新自由主義下で個人が強化された時期と重なる。つまり、社会の閉塞状態が加速した時期の産物である。レイヴァーたちはその閉塞状態の外側にある自由を求めた。イギリス政府はこのムーブメントを食い止めるために軍隊を派遣し、法律まで変えている。90年代に起こったブリットポップ(60年代)のリバイバルは政治的に考えると、レイヴ・カルチャー崩しという意図があった。実際に、ブリットポップは97年にトニー・ブレア政権が打ち出した国家ブランド戦略=クール・ブリタニアに取り込まれ、次々と大手メディアなどから契約や出資を得てより大きな商業的発表機会を持つようになった。90年代後半に入るとアンダーグラウンドなクラブカルチャーは商業化され、かつての雰囲気を失っていった。かつてレイヴが祝祭されながらも、いまや見放されてしまった空間の中を歩きつつ、その空間自体も人々から遠のいていく様子をBurialは作品にしている。Burialの「Burial」はハードコア連続体の終焉を意味し、レイヴ世代へのレクイエムである。

Burial by Burial on Spotify | Burial by Burial on Apple Music

 

昨年、イギリス国内における違法レイヴが増加傾向にあるという記事をSky Newsが出していた。この結果は、今のEUの動きを見ればこれは必然なのかもしれない。昔のように閉塞状態にある若者が外側の自由を求め、過ぎ去ったレイブの幽霊を見ているのだろうか。

ポスト・レイヴ

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ロシアのレイヴ

 ポスト・インターネットに入り、すべてが記録される中でレイブの在り方も変化してきました。ロシアの都市、サンクトペテルブルクとモスクワではレイヴのリバイバルの台頭である。この動きにはファッションデザイナーのGosha Rubchinskiyが大きく関わる。ソ連崩壊後の厳しい状況や若者の暗い固定観念を逆転させて反映したパーティー「𝓐𝓷𝓰𝓮𝓵𝔀𝓪𝓿e」では、明るさや光をコンセプトにしており遊びに来る観客も白を基調としたファッションが目立つ。ここでは、主に実験的なトランスが流れ、モスクワのローカルなDJをはじめ、Lorenzo SenniやAir Max'97、Sega Bodega、Torus、Coucou Chloeなどの国際的なアーティストをも招聘している。Angelwaveの音楽とスタイルは、世界的なインターネットの動向と90年代の文化に深く根差しているが、地元では「Skotoboinya(ロシア語「Slaughterhouse」)」や「W17chøu7」など、モスクワで人気のアンダーグラウンドパーティーへの対抗として見られる。

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「W17chøu7」では「𝓐𝓷𝓰𝓮𝓵𝔀𝓪𝓿e」の反対で、黒や暗闇をコンセプトにしており、観客も黒いスポーツウェアで身を固める。W17chøu7(「魔女の家」パーティー)は、#ghostghetto、#darksea、#gravewaveのようなハッシュタグを付けた投稿でオンラインに記録される。ロシアではこうしたアンダーグラウンドシーン同士が競争することで、さらに先鋭的なシーンが絶えず生まれているのかもしれない。

Angelwaveのシーンは未来的な物語とポストインターネットのアートから深く引き出されている。中でも「ミレニアムの精神」を重要な影響力として掲げている。昨年、Gosha Rubchinskiyの2018 S/Sのショーでは、ベルリンの壁崩壊直後の90年代初頭のレイヴのスタイルとエネルギーに敬意を表している。

https://www.electronicbeats.net/app/uploads/2017/09/gosha-rubchinskiy-burberry.jpeg

 

ウクライナのレイヴ CXEMA

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Slava Lepsheevが始めたウクライナの首都キエフでのテクノパーティー「Cxema」。 Cxemaは、差し迫った戦争、反革命、そして経済危機の中生まれた。ソ連崩壊後、ウクライナはかつてのドイツのように経済をめぐる東西の温度差がある。ロシアに接し、親露派住民が多いウクライナ東部には、国内経済を牽引する工業地帯が集中。一方、西部は東部に比べて立ち遅れているため、EUとの統合を求める声が強く、東西分裂の危険性もはらむ。欧米各国は国家分裂を回避させようと躍起になっている。キエフEU統合を望む人々が多い北西部に位置している。「アイデンティティーの西部と経済力の東部」という図式が今も維持されている中、CxemaはDIY的にレイブを行い若者のエネルギーが集積されている。90年代イギリスのレイヴカルチャーの状況と似ているが、Cxemaは反ファシズムフェミニズムを掲げる。また、音楽も実験的であり、90年代のレイブよりはるかに未来的なサウンドだ。

http://politicalcritique.org/file/2017/04/cxema_photo5-Sean-Schermerhorn.jpg

CXEMA and Rave Parties in Ukraine: Poor But Cool – Political Critique

 

カルチャーの焼き直し ディスクロニア (dyschronia)  

Simon Reynolds -  Retromania (2011)

音楽からファッションにいたるノスタルジー産業、リバイバルブーム。00年代以降の文化状況は過去に停滞・回帰することで未来がキャンセルされている。全てがメディアに記録されることにより、文化的な時間の直線状態が乱れ崩壊している。つまり、前進の感覚がないことを意味する。決定的に新しいものがないために、過去の文化やメディアの焼き直し、再構成が「古い」と感じさせないままに受け手に享受される。レトロなものが、すでに慣れ親しんだ満足感を最小限の変化の中で、手取り早く保証してくれるので、すでに成功したものに似た文化的な生産物が生み出されていく傾向にある。多くの音楽が模倣や反復に閉じ込められる中、テクノロジーの変化を下駄にして新しいものを生産していく層もある。Eco Grimeや実験的なトランスなどの型に当てはまらないエクスペリメンタルな音楽はそのいい例かもしれない。ローカルとローカルがぶつかるグローバルの中で、またかつてのハードコア連続体のような流れが生まれることを期待する。

 

参考/引用:

https://i-d.vice.com/en_uk/article/ne95xg/angelwave-is-the-euphoric-future-of-rave-in-post-soviet-moscow

http://politicalcritique.org/cee/ukraine/2017/cxema-and-rave-parties-in-ukraine-the-poor-but-cool-youth-culture/

Mark Fisher - Ghosts of My Life: Writings on Depression, Hauntology and Lost Futures (2014) = わが人生の幽霊たち - うつ病、憑在論、失われた未来

 

Spotifyのいろんな2018年ベストOOO

 

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2018年ベストOOOSpotifyプレイリストをたくさん集めてみました

 

  1. Best Acid Techno of 2018
  2. Best of 2018 YO by DJ Vadim 
  3. The 50 Best African Songs of 2018 by mitokon
  4. 2018's Best Techno by Resident Advisor
  5. Breakbeats
  6. Footwork 2018
  7. Best Experimental Albums of 2018 by Pitchfork
  8. Bset of 2018 /EBM/TECHNO/INDUSTRIAL
  9. Grime Best Tunes 2018
  10. Female Rappers 2018 <3
  11. Bassline 2018
  12. Ragga Jungle 2018 by nikoxena79
  13. Baile Funk - Top Funk 2018 by Rafael Souza
  14. 2018 - Tribal Tech House
  15. Best of Nerdcore by Ali Neshati
  16. 2018 Underground Timemachine
  17. 2018/2019 UK Grime/Drill + US Underground Hip-Hop
  18. Psychedelic Rock
  19. 最近の最高🌿 by T5UMUT5UMU

 

こちらに個人的なまとめの記事もあります!

iamtsumu.hatenablog.com

 

Best Acid Techno of 2018 by Aquaregia

 

Urban, Mellow & Luxury by DJ Pigeon

80sブギーやCity Pop, フュージョンなど

 

Best of 2018 YO by DJ Vadim

レゲエ、ダンスホールからヒップホップ、ソウルなど

 

The 50 Best African Songs of 2018 by mitokon

南アを中心に、ナイジェリアやガーナ、欧米で活躍するアフリカン・ディアスポラなど

 

2018's Best Techno by Resident Advisor

 

Breakbeat by stereoDecor

 

Footwork 2018

 

Pitchfork - Best Experimental Albums of 2018 by John Farthing

 

Bset of 2018 /EBM/TECHNO/INDUSTRIAL

 

Grime Best Tunes 2018 by captanic85

 

Female Rappers 2018 <3

 

Bassline 2018

 

Ragga Jungle 2018 by nikoxena79

 

Baile Funk - Top Funk 2018 by Rafael Souza

 

2018 - Tribal Tech House

 

Best of Nerdcore by Ali Neshati

 

2018 Underground Timemachine

 

2018/2019 UK Grime/Drill + US Underground Hip-Hop

 

Psychedelic Rock

 

T5UMUT5UMU

最近の最高🌿

2018's sounds 

 

今年印象的だった曲

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早いもので12月の半ばも過ぎて、1年間を振り返る時期がやってきました。

今年、印象的だった曲(有名どころも押さえつつマイナーな作品も)を個人的なメモの役割も兼ねてコメントもしつつ、だらだら紹介していこうと思います。

ページの最後に200曲近くあるSpotifyのプレイリスト載せておいたので時間ない人は先にそちらへどうぞ!

SOPHIE - Is It Cold In The Water?

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今までの作品、MSMSMSMやVyzeeといったLatex-Popというサウンドから離れ、この曲は壮大で感情的な作品です。印象的な点は、ボーカルが各"Cold"の"o"を12秒間も伸ばして、メロディに沿って着地しているとことです。アルペジオに沿った"o"の伸ばしのために、寒さ(Cold)や痛み、孤独など感情的な部分が強く感じられます。

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SHYGIRL - CRUEL PRACTICE [EP]

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Sega Bodegaプロデュースのこの作品!CouCou Choleにも見られるフィメールボーカルに過度なdoublerをかける感じがすごいSega Bodega感。SHYGIRLのいい意味で無感情なボーカルと全体的にホラー映画のようなサウンド使いのインストが最高にマッチしています。ジャケットも無表情ですね。

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Last Japan - LUNA [EP]

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EPのタイトル通り、全7曲に月夜を感じられます。冬にインスパイアを受けた作品らしくて、冷えきった濃い霧が閑散とした東ロンドンの街を包み込む景色をサウンドから感じられます。切り裂きジャックが現れそうなロンドンの夜感が最高。特にSquadという曲が好きです。

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baq - Гэрээ Санасан

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ハンガリーのGlobal Bassレーベル [Babylon Records] からのリリース。チベットの伝統的な歌唱法のホーミーやその他チベット楽器をサンプリングしまくっているこの作品。アフリカンジューク(stas - Nuki Nuki)で有名なstasもフューチャリングしていて、双方ハンガリー人らしいです。ハンガリーの音楽シーン、無国籍すぎてどこで音楽を聞いてるのか方向感覚失いますね。

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Tommy Cash - ¥€$

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12月に入ってリリースされたばかりのこの問題作!Tommy CashはPC MUSICまわりのDanny L HarleやA.G.Cookと絡みが多くて前々からチェックしていたのですが、今作も多く絡んでいるようです。’BRAZIL’ではバイレMCのMC Bin Ladinがフューチャリングしていたり、’X-RAY’ではロシアンハードベースを取り込み、’VEGETARIAN’では1997年のThunderdomeのガバを感じさせるなど、複数の地域・時代からのリファレンスがあって飽きさせないアルバムでした!

(Tommy Cashってトレインスポッティングのベグビーにめちゃくちゃ似てる…)

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Djrum - Portrait With Firewood [EP]

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Dubstep、DnB、Techno、Jungle、Ambient、Classical。それらの全てがジャンルを超えて、最高の組み合わせで再配置されている作品。’Sex’はハードなBroken-Beat Technoな感じ、かつ、トライバリーなパーカッシヴですごいツボです。

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Bryte - Too Good for Your Liking 

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ガーナで最もエキサイティングなボーカリストのひとり。95-150BPMでUK Funky, Afrobeats, Basslineをブレンドし、パーカッシブなクラブサウンドになっていて最高に踊れます。

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Martyn - Mind Rain from Void [Album]

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アルバムが全体的に湿っています。ダブステップ通過後のUK臭さもあり、民族的な音楽の吸収も聞き取れることができます。

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jigga - lillllill

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TZUSINGやPAN DAIJING等のエクスペリメンタル、オルタナなど気鋭の音楽を送り出すアラブ首長国連邦のカルトレーベルBEDOUINから日本人のリリース。Aphex Twinがフェスで jigga の曲をプレイしたのは驚愕でした!呪術的、宗教的なサウンドをサンプリングし、異様な世界観が完成しきっています!

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Guzz - 锦鲤 koi

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北京のプロデューサー。Howie LeeやSulumiといったメンバーと共にDo Hits を立ち上げたひとり。

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 Throwing Snow - Vulpine [EP]

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急激に変動するビートが順々に積み重ねられ、170 BPMから85 BPMへとテンポが大幅に低下します。アコースティックドラムとサブベースの相性がとても良く、箱鳴りが凄そうな曲なので早くクラブで聞いてみたいです。

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New Optimism – Amazon To LeFrak [EP]

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Cibo MattoGorillazとの活動でも有名なMiho Hatori (羽鳥ミホ) の新たなソロ・プロジェクトエレクトロニック、レフトフィールドサウンド・エクスペリエンス、そしてカリビアン/ブラジル・ビートの歪みを伴う遊び心のある実験的なポップ作品。

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ここまで一応一括りです!

さて、ここからはちょっとマイナーどころに潜っていきましょう!

 

Text Chunk - We See Them As We Are [EP]

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JukeとJungleで構成される4曲組のEP。Infinite Driftというベルリンのレーベルからのリリースで、このレーベルはビジュアルに凝っているらしく、どのジャケットも実験的ながらスタイリッシュでかっこいいです。

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Callosum - Moonwake [EP]

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最近、キテいるトランシーなシンセをうまく使い、ちょっとメランコリーなテイスト。

1曲目はダンスホール回帰の最近の流れに合わせてきた感じですね。2曲目は、Sino-Grime的要素を多く含んでいてかっこいい!

SoundCloudBandcamp

Aerotonin & Black Mags – Ashes Of Ariandel

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GrimeよりのBreakbeat、Grimeによく使われるstabも取り込まれていてバンガーな140BPM。

SoundCloud | insert.com

Lyra Valenza – Scan, Deliver [EP]

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様々なジャンルの要素を取り込んだBroken BeatとPost Raveなど4曲入りのEP。予測不能なビートの上に、HardcoreやTranceのサウンドが散りばめられていて全曲素晴らしい。

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Various Artist [Nostro Hood System] - Waystation Compilation: Sequence I

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UKのレーベル[Nostro Hood System]からの全10曲のコンピレーションアルバム。未来的、SF的でありながらBaile FunkやDancehallなどのジャンルを吸収し、いわゆる"ネオ"感がすごい、そんなアルバムです。

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ZULI - Trigger Finger 

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エジプトのカイロを拠点にするプロデューサーZULI。音割れハリーポッター並みにディストーションされた低音で初めて聞いたときは笑っちゃいました。最高!

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SNØW - X​-​Amount

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UK Funkyは今年、興隆したと言っても過言ではないんじゃないでしょうか。そんなUK Funkyの4曲入りのEP。

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ちょっとキリがないので..ここらへんで終わろうと思います

Spotifyで紹介した楽曲+αでのプレイリスト作ったので載せておきます!とりあえず200曲近くぶっ込みました。

open.spotify.com

 

実は普段の生活ではクラブサウンドはもうTOO MUCH状態なので、日本の音楽の方が聴いている時間が長いです。国産のまとめも時間があれば書こうと思います。とりあえず、今年は中村佳穂の"AINOU"は最高だったのでみんな聴いてほしいです。